自宅で過ごす時間が増えて毎日の活動量(運動量)が減っていませんか? 体の筋力は、
日常的に動かすことで鍛えられます。
この記事では、自宅でできる簡単な筋トレと筋トレをおこなう際の注意点について紹介します。
筋肉の衰えとは?
ふだんなにげなく使っている筋肉。筋肉は、筋線維(きんせい。筋線維とも表記する)と呼ばれる繊維状の細胞からできています。この筋線維は、1本ずつ運動神経とつながっています。人の体は、この運動神経からの信号を筋線維が受けて収縮しながら、体を動かしています。
人間の髪や歯は年齢とともに変化していきますが、この筋線維は年齢を経ても大きく減少することがありません。ただ気をつけたいのが、この筋線維は使わないままでいると細くなるということ。筋線維が細くなるにつれて筋力も低下します。筋線維が細くなると、歩行能力が落ちたり階段の上り下りがつらくなったりなどの症状となってあらわれます。
筋トレの意味とは?
筋トレ(筋力トレーニング)は、筋力をきたえるためのトレーニングをいいます。筋トレと聞くと、重量があるダンベルを持ち上げたり腹筋や腕立て伏せを繰り返したりするイメージがあるかもしれません。そのため、筋トレは体を鍛えたい人がおこなうものという印象を持つ人もいるでしょう。
けれども筋トレは、基礎的な筋力を維持するためにも、高齢者にこそ必要といえるのです。年齢を重ねていても、筋力は鍛えられます。もちろん、その場合の筋トレは、ダンベルを持ち上げるような激しいものではなく、ゆっくりとした動きの筋トレです。筋力は貯めておけない性質を持つため、継続的に鍛えることが大切なのです。
高齢者は、腕や肩などの上肢(じょうし)よりも足や太もも、かかとなどの下肢(かし)の筋力が低下しやすい傾向にあります。高齢者におすすめの筋トレを紹介します。最近体力に自信がなくなった、歩くいたりや立ったりが以前よりつらくなってきたという人、自宅にいる時間が増えて運動不足を感じているシニアにもおすすめです。
おすすめの筋トレ
※写真は参考画像です
・つまずき予防の筋トレ
1.足を肩幅に開いて立つ。右足を一歩分前に出し、つま先を上げる。左足も同じ用につま先を上げる。
2.そのままかかとを使って30歩程度歩く。このとき体が前に傾かないように注意する。同じ動作を2回繰り返す。
・椅子を使ったスクワット
1.安定感のある椅子を用意し、足を肩幅程度に開いて椅子に座る。
2.両手のひらを組んで支えるように首のうしろにあてる。
3.前を見ながら椅子からゆっくりと立ち上がる。
4.ゆっくりと椅子に座る。同じ動作を10回程度繰り返す。
※股関節(骨盤と太ももの付け根のあたり)を開いたほうが、ひざへの負担が少なくなります。
・つま先立ちの筋トレ
1.壁に向かって立ち、両手を軽く曲げるようにして壁につける。
2.手をつけたまま、つま先で立つ。そのまま3秒間停止したあと、かかとを下ろす。同じ動作を5~10回程度繰り返す。
※つま先を上げるときは、指の付け根までしっかりと上げる。
※写真は参考画像です
・バランスを鍛える筋トレ
1.安定感のある椅子を用意し、背もたれを持つようにして椅子のうしろに立ちます。
2.片足に重心をおき、もう一方の足はまっすぐのばした状態で真横に上げる。このとき、体はまっすぐな状態を保ちます。
3.5秒程度停止し足を下ろします。反対も同様にし5~10回繰り返す。
※椅子を持たずに立てる人は、椅子なしでおこなっても良い。
・椅子を使ったもも上げ
1.安定感のある椅子を用意し、足を肩幅程度に開いて椅子に座る。このとき、背もたれから背中を離すようにする。
2.腕を胸の前で交差させ、反対側の肩を軽くつかむ。
3.右側の太ももを椅子の座面から浮かせるようにして上げて下ろす、反対側も同じようにする。同じ動作を5~10回程度繰り返す。
※完全に浮かせるのが難しい場合は、可能な範囲で浮かせるようにします。
それぞれの筋トレの頻度は、週に2~3回が適切です。余裕がある人は、それぞれの筋トレを繰り返し(3回程度)おこなっても大丈夫です。
下肢を鍛える筋トレを紹介しました。無理する必要はありませんが、少しずつ挑戦してみてください。
動画を見ながらやってみよう!
こちらの筋トレ動画にも、ゆっくりとした動きの筋トレが紹介されています。参考にしてみてください。
高齢者の筋力トレーニング(初級)
https://www.youtube.com/watch?v=81xw8lf9_LU
筋トレの注意点
呼吸を止めない
今回紹介した筋トレは大きな負荷をかけるものではありませんが、動作の最中に呼吸を止めないように注意してください。たたおえば本格的な筋トレでは、息を止めた状態で下腹部などに力を入れるような動作をします。この動作は血圧が上昇する行為です。自然な呼吸をしながら筋トレをおこなうと、体への負担が少なくなります。
自分の筋力にあわせよう
筋トレは、筋肉に負荷をかけて筋力をつけていきますが、力の弱い方は、無理のない程度から始めましょう。上記で紹介した筋トレであれば最初は回数を少なくする、程度を抑えるなどしながら進めてください。最初は安全な状態から始め、慣れてきたら少しずつ回数を増やしていきましょう。
高齢者の筋トレと注意点について紹介しました。身近にある壁や椅子を使った筋トレは、特別な道具がなくてもできるのがおすすめのポイントです。筋トレは、長期的に続けてこそ効果が高まります。「ゆっくりとした動作で自然な呼吸をしながら」を習慣にして継続してみてくださいね。