心おどる春の訪れ。楽しみな一方で、疲れを感じやすい時期でもあります。小林メディカルクリニック東京院長の小林暁子医師に、この時期の過ごし方についてお話を聞きました。
春は、社会全体がざわざわする。
1年のうちで最も寒暖差が大きく自律神経が乱れがちな春には、クリニックにお越しになる方が本当に増えます。明るく軽やかな春の装いを楽しもうと思っても、気温は上がらず肌寒いまま。体もきゅっと縮こまってしまいがちです。冬の乾燥が残りつつ紫外線が強くなる、肌トラブルも多いとき。ネガティブマインドにならないような心がけが必要です。
私は、日本の場合は4月に年度が変わることも、春先に不調を感じる人が増える原因のひとつではないかと考えています。入学や入社など、新生活を始める方にとっては、生活環境が変わることがストレスになりやすいものです。また、一方で生活が変わらないままの人にとっては、街なかやメディアではつらつとしたフレッシュマンを見かけて、ポジティブな周囲と自分との落差に落ち込んでしまう、ということも。春は、社会全体がちょっとざわざわしていて、心がゆさぶられる要素が多いんですね。
コロナ禍が一日も早く収束することを願っていますが、これから、コロナが落ち着いて従来の生活が戻り、停滞していた社会が動き始めるとしたら。私が危惧しているのは、そこで気持ちを切り替えられない人がたくさん出てきてしまうだろう、ということです。多くの人が、周囲と自分のギャップを感じてしんどい気持ちになる。医師としてたくさんの方の悩みと向き合うことになるのではないかと、心の準備をしています。
毎日自分を褒めてあげる。
まず、人がうらやましくてネガティブになりそうになったら、何がうらやましいのか、それはどうやったら自分の行動につながるか、具体的に考えてみるといいです。
それから、前向きになるためにおすすめの方法は、自分の良いところをたくさんみつけること。小さなことでもいいから、日記にその日の自分の良いところを書いてみましょう。あるいは、なりたい自分の理想像や、どうやったらその理想に近づけそうか、考えて書いてみる。これらは、ポジティブな気持ちで、自分に関心をもつことにつながります。脳のポジティブな回路を使って、ご自身と向き合ってみてはいかがでしょうか。
監 修
Dr Akiko Kobayashi 小林 暁子先生
小林メディカルクリニック東京院長。医学博士。順天堂大学総合診療科での経験を経て、便秘外来・内科・皮膚科・女性外来など全身の不調に対応するクリニックを開業。著書には『免疫力を上げる健美腸ルール』(講談社)などがある。女性雑誌などメディアにも多数出演。