エビデンス・ベースド・メディスン(EBM)ってご存知ですか?
医療って、お医者さんの経験がものをいう、
って印象が強いですよね。
昔はお医者さん個人だったり、
そのお医者さんが学んだ大学によって、
施術に差があるってことが結構あったんです。
(そして、おそらく今でも)
それが、20年くらい前から、EBMということが
盛んに言われることになりました。
日本語に訳すと、科学的根拠に基づいた医療、ですかね。
「証拠」って何かというと、
医学では統計で示された事実、なんですね。
物理学や化学では、ある事実は、
数式や実験でA→Bと示すことができますが、
医学や経済学みたいに人を扱う学問の場合、
ある事が、誰に対しても同じ結果をもたらすことは少ないので、
統計的に確からしい答えを探すことになります。
新しい薬を開発した場合、
それが誰にでも効けばいいですが、
必ずしも全員に効くとは限らない。
その場合、例えば、100人のうち95人に効けば、
その薬は、まあ効くといってもいいだろう、
ということを統計的に考えるんですね。
医学を科学たらしめるには、統計学の役割が大きい訳です。
この統計学というのが実は曲者で、
結果を読み違えるようないろいろな要因があるんです。
例えば、昔は、飲酒と肺がんには関係がある、
と統計的に言われていたのですが、
実は、飲酒をする人はバーなどでタバコの煙を吸う機会が多く、
本当に関係あるのは、タバコと肺がんだった、とか。
私は医学部の大学院で生物統計学という分野を学びましたが、
大学院時代は、5年間、海外の論文を批判的に考察して、
意見を言い合うということを来る日も来る日もやる訳です。
そういうことによって、統計に騙されない、
統計を正しく使う術を学んだんです。
でも、このスキルは医学に限らず、
物事を科学的、合理的に考える上でとっても役に立っています。
以前、ノーベル賞学者にインタビューした際、
子供の頃に花火を作ることに没頭していたという彼が、
「花火を作って指が吹っ飛んでしまう確率は、
道路を渡って交通事故に遭う確率よりずっと小さいよ」
と言っていたのを良く覚えています。
科学的な考え方というのはそういうことだと思います。
ちなみに、ブロリコもきちっと臨床試験(統計分析によって効き目を測定すること)
をしてるんですよ。