私の主な仕事は店舗開発でした。
薬局に適した土地を探して、
地主さんと出店の交渉をすること。
薬局って、立地ビジネスなんです。
みなさんもご経験あるかもしれませんが、
ほとんどの人は病院から一番近い薬局に行きます。
例えそれが、隣同士でも、
1軒通り越して、その先の薬局に行く人はとても少ないんです。
10メートル先の薬局の方がずっと空いているのに。
病院の門から、すぐ隣の薬局と、さらにその隣の薬局では、
患者さんの数はだいたい2:1か、
場合によっては、3:1くらいになります。
だから、薬局をチェーン化する際の、
一番大事な肝は、いかに良い立地を探してくるかなんです。
かつては、来る日も来る日も出店できそうな立地を探す、
っていうことをしていました。
病院の前に更地があればいいのですが、
病院の前って、花屋さんやケーキ屋さんがある場合も多いですよね。
想像してみてください。
営業しているお店に行って、
「そろそろ店をやめて、薬局として貸してもらえませんか?」
っていう交渉をするんです。
だいたい、塩まかれるか、水まかれるか、です。
でも、翌日も何食わぬ顔でまた行く。
それを続けていると、人間不思議なもので、
情が湧いてくるのか、話を聞いてくれるようになるんですね。
先程言ったように、薬局って立地がとても大切なので、
大抵は、今の仕事を続けているよりも有利な条件を出せるんです。
そうして、商売辞めて、薬局として貸してくれることも多々ありました。
そこまで行くと、今度は逆に信頼関係がすごいんですね。
地主さんにとっては、商売辞めるとか、家を薬局用に立て直すとか、
一生に一度あるかないかの決断をする訳です。
私のことを信用して。
「木下さんを一生頼りにするから」
みたいになる訳です。
そんな訳で、薬局を辞めた今でも、
お付き合いのある地主さんもいるんですよ。
それはともかく、薬局を辞めた理由の一つは、
薬局という仕事が「競争」でしかないからです。
私たちがその「一等地」を確保できなければ、
他の薬局がそこを押さえて、開店するだけです。
社会的にはどちらでも変わらないんです。
それに対して、ブロリコや今私たちが開発している成分は、
世界で初めて私たちが開発する成分です。
これを生み出すことによって、
世界の健康に貢献できると信じています。
これからも、「競争」ではなく、
「イノベーション」で世界を変えていきたいです。