日本人の身近な病気でもある「高血圧」。
動脈硬化などの血管障害に加え、脳卒中や心筋梗塞を引き起こす恐れもあります。主な原因となる「塩分の摂り過ぎ」の危険性と対策をご紹介します。
何度測っても血圧が正常値より高い状態が続く高血圧。細くて血管の壁が弱い脳や眼の網膜、腎臓などから影響が出やすく、長期化すると太い血管にも害を及ぼし、脳卒中や心筋梗塞、動脈瘤といった危険性が高まります。
高血圧となる原因のひとつが塩分です。食事で塩分を摂り過ぎると血液中の塩分濃度が上昇し、体は濃度を一定に保つために、血液中に水分を送り込んで薄めます。すると血液の量が増加。これが体内に循環されるため、心臓に負担がかかり、高血圧になるわけです。また、腎臓は余分な塩分を水分とともに排出する役割を担いますが、血液中の塩分量が増えると排出のための水分量も増え、腎臓にも負担を強いることになります。
では塩分を減らした食事は、どのようにするのが良いのでしょうか。
そもそも人間の舌は、塩味・甘味・酸味・苦味・うま味のバランスでおいしさを味わいます。しかし、濃い味つけに慣れていると塩味の強さでおいしさを判断してしまうことも。そこで、他の味覚を活用することがポイント。まずは、だしを使い食材のうま味を引き出しましょう。塩分が少なくても、食事の満足感をキープできるため、継続しやすい利点があります。また、酸味も役立ちます。しょうゆの代わりに酢を使うことで、味を与えつつ塩分をグッと減らすことができるのです。日頃の食生活を見直すことで、無理なく高血圧のリスクを下げていきましょう。
監修 工藤孝文さん
糖尿病内科医・総合医療医。「ズボラな人でも 高血圧がラクラク下がる!」(宝島社)をはじめ生活習慣病や高血圧に関する書籍を多数執筆している。