盆栽といえば、木の特徴を生かした迫力ある枝ぶりが思い浮かびます。展示会などで鑑賞するのは楽しいものですよね。けれども、趣味として自分がやるとなると敷居が高いイメージがありませんか?枝ぶりを作るための針金を掛けたり、枝の良い部分を生かして美しい形に仕上げたりするためには、細かな手入れや知識が必要になるようです。
敷居が高そうに見える盆栽。手のひらに乗るぐらいの小さなサイズのミニ盆栽なら、比較的気軽に始めることができそうですよ。
この記事では、ミニ盆栽を始めるための色々を紹介します。
※記事中の写真の一部は、ミニ盆栽ではないものがあります。参考写真として掲載しています。
盆栽の歴史とは?
中国から日本に盆栽が伝わったのは、平安時代。当時の貴族や鎌倉時代の武士階級の人たちの趣味として広まりました。昔は「盆山(ぼんさん)」と名付けられていましたが、明治時代になると「盆栽」という呼び名が一般的に使われるようになったのだそうです。
自然の風景をひとつの植木鉢の中に表現する盆栽は、観葉植物とは異なる味わいがあります。現在では、盆栽の芸術性の高さが認められ「BONSAI(盆栽)」として、世界中から認知されています。
ミニ盆栽とは?
様々な大きさがある盆栽のうち、樹高10cm以下のものがミニ盆栽と呼ばれています。ミニ盆栽はサイズなら、窓辺などのちょっとしたスペースがあれば栽培することができます。
ミニ盆栽におすすめの種類
ミニ盆栽におすすめの植物の種類を紹介します。ミニサイズながらもそれぞれ個性的なので、盆栽の醍醐味を楽しめそうですよ。
・五葉松(ごようまつ)
赤松や黒松などの常緑の針葉樹は、盆栽の中でも特に人気の種類。専門用語では「松柏類(しょうはくるい)」と分類されています。たくさんの種類がある中で、一番人気なのが「五葉松(ごようまつ)」です。
五葉松は、芽切りと呼ばれる枝の先から出る芽を切って枝が伸びるのを防ぐという作業が不要なため、比較的管理がしやすいのが特徴です。手入れが楽なので、初心者にもおすすめです。
・紅紫檀(べにしたん)
バラ科の常緑低木「紅紫檀(べにしたん)」は、中国原産の植物です。初夏に小さな花を咲かせた後、秋になると赤い実をつけます。赤い実は、秋冬を通して鑑賞できるそうです。盆栽を本格的な趣味とする人にも、果実をつける植物は人気が高いとのこと。紅紫檀は、比較的実がつきやすく、初心者にも育てやすいといわれています。
・くちなし
初夏に甘い香りの白い花を咲かせるくちなしは、濃い緑色の葉をつける常緑性の植物です。花を咲かせた後に実をつけますが、この実は、昔から漢方薬や染料として使われていたのだそうです。栗の甘露煮を作る際に、きれいな色を出すためにも使われていますよね。
くちなしは、一年中緑の葉を楽しめるほか、細かな手入れをしなくても元気な状態を保てるのがおすすめのポイントです。
・紅葉(もみじ)
初心者にも人気がある「紅葉(もみじ)」。春に芽が吹いた後、夏になると緑の葉をつけます。そして秋になると紅葉し、落葉した後は幹だけになった姿を鑑賞できます。一本の植物から四季の移り変わりを感じることができるのです。
初心者にも人気ですが、春の芽摘みや初夏の葉刈りなど様々な作業が必要になります。そのため、まめに植物を手入れするのが好きな人に向いています。
・長寿梅(ちょうじゅばい)
長寿梅は、野ボケの品種のひとつで、年に何度も花を咲かせる四季咲き性の落葉樹です。年に数回、梅のような赤い花を咲かせます。時期により葉が黄色くなり落葉しますが、すぐに新芽が出てきます。
緑の葉や赤い花、落葉など、1年を通して様々な姿を鑑賞できます。初心者でも育てやすいといわれています。縁起のいい名前なので、お祝いに使われることも多いようですよ。
・苔(こけ)盆栽
植木鉢や陶磁器などに、苔を植え付けたのが苔盆栽です。苔盆栽は、樹の盆栽に比べると管理が格段に楽だといわれています。高さ10cm以下の小さなサイズのものが多いので、室内にちょっとした緑を置きたいという人にもおすすめです。選ぶ鉢や容器によって、和風にも洋風にもアレンジができます。
苔盆栽に向いているのは、ギンゴケ、タマゴケ、ニワスギゴケなど。苔盆栽には、向かない種類もあるので注意が必要です。
ミニ盆栽の始め方
費用が比較的安く室内でもスペースを取らずに楽しめるミニ盆栽。小さくても四季の移り変わりや自然の風景を見せてくれることから、一部の人の趣味としてはもちろん、様々な年代の人に人気が出始めています。
ミニ盆栽を始めるには、どのような方法があるのでしょうか?おすすめは、インターネット通販や大きな園芸店で栽培キットを購入する方法です。栽培キットなら、わかりやすい説明書がついているので、初めて盆栽を育てる人にも抵抗なく始められるはずです。
栽培キットといっても、植物の種類や内容、価格は様々なものが揃っています。代表的なものを紹介します。
おすすめその1:ミニ盆栽の栽培キット
黒松やさくら、紅葉(もみじ)などの種と10cm以下の高さの小さな鉢、培養土、鉢底アミなどがセットになっています。説明書を見ながら自分で、鉢に土を入れて種をまいて育てることができます。インターネット通販で、1,000円~で購入可能です。
おすすめその2:苔盆栽
陶磁器などに苔が植えられた苔盆栽。シンプルなものは数cm程度の大きさで、1,500円~で購入可能です。亀やカエル、ハリネズミなどの形をした陶器に苔が植えられたユニークなタイプもあります。インターネット通販で、3,000~5,000円程度で購入可能です。
おすすめその3:ミニ盆栽と道具のセット
樹高15cmほどの枝ぶりなどを整えた完成形のミニ盆栽と、手入れに必要な道具(盆栽はさみ、ピンセット、薬剤、トレー)がセットになっています。長寿梅や五葉松、桜など、好みを植物を選べば、到着してすぐにミニ盆栽を楽しめます。
インターネット通販で送料込みで10,000円~と価格は高めですが、届いてすぐに鑑賞できるのがおすすめのポイントです。
ミニ盆栽の育て方
もともと屋外で育つものなので、1週間に1回程度、外に出して日光に当てましょう。通常の大きさの鉢植えに比べて乾燥しやすいため、冷暖房の風が直接当たる場所には置かないようにします。くわしくは、栽培キットの説明書を読んで参考にしてみてください。
盆栽は、ミニサイズであっても、和の雰囲気と季節の変化を楽しめるのが大きな魅力です。小さな鉢がひとつあるだけで、部屋の雰囲気がぐっとよくなるかもしれません。この機会に、お気に入りのミニ盆栽を見つけて育ててみてくださいね!