いつも利用しているスーパーの前で、手作り作家さんたちが主催する小さな手芸のマーケットが開かれていました。気になってのぞいてみると、エコバッグやアクセサリー、素材にこだわった手作りの洋服、木製のインテリア雑貨などが並んでいます。
見ていて思ったのですが、最近の手作り雑貨ってナチュラルな雰囲気のものが多いんですね!どれも丁寧に作られている感じが伝わってきてとても魅力的。見ているだけでほっこりとした気持ちになりました。
最近は断捨離(だんしゃり=不要なものを減らすこと)を意識していて、買い物をする時はじっくり考えてからと決めている私ですが、一目見て気に入った小さなマスコットを買ってしまいました!「これなら小さくて場所も取らないし、いいわよね」と心の中で自分にちょっと言い訳しながら買いました。
私が買ったものは、羊毛フェルトという最近人気の手芸のひとつなのだそう。作家さんから羊毛フェルトの手作りについてお話を聞くうちに、興味深い話題が出てきました。
柔らかい触感にはセラピー効果がある
ぬいぐるみのような柔らかくて弾力がある素材のものを触ることは、セラピー(癒やし)効果があるという実験のことです。
見た目が同じで柔らかい触感と固い触感の2種類の人が声をかかけると返事をするロボットを用いた実験で、固い触感のロボットはひととおりの声掛けのやりとりをした後は興味をなくす人が多かった。
けれども、柔らかい触感のロボットは、ロボットからの反応に飽きた後でも触れ合いを続ける人が多かった上に、実験結果からも生理的・心理的ストレスが緩和されることが明らかになったのだとか。
実験でも結果が出ているなんて、ちょっとビックリですね!ぬいぐるみって、見た目のかわいさだけが大切なのかと思っていましたが、触ったときの柔らかさや弾力なども重要な要素だったのです。
その作家さんによると、羊毛フェルトで作品を作ることもストレス緩和や癒やしの効果があるような気がしますとのことでした。なにかとストレスが多い現代。年齢や性別に関係なく、柔らかいものに触れたり自分で手作りして静かな時間を過ごすことは精神的にもいいのかもしれません。
羊毛フェルトについて興味が出てきたので、調べてみようと思います!
フェルト(felt)は、羊やラクダなどの動物の毛を圧縮してシート状にしたものを意味します。工芸品として出回っているフェルトには天然素材の品も多いようですが、一般的に知られているのは、化学繊維で作られたカラフルなフェルトの方かもしれません。フェルトを型紙通りに切り抜き、立体的に縫い合わせたものに綿を入れた動物のマスコットなど、子供の頃に作ったことがあるという方も多いのでは?
羊毛フェルトは、羊の毛を原料にしている点では同じですが、シート状のフェルトとは形状が違うふわふわとした綿菓子のような見た目をしています。このふわふわとした羊毛を固めて形を作るのが羊毛フェルト工芸です。
羊毛フェルトを作ってみましょう
羊毛フェルト工芸では、専用の針で羊毛を差し固めて形を整え、動物や花、鳥などといった作品を作る「ニードルフェルト」と、シート状にした羊毛にお湯をかけて繊維をからませて固め、コースターやティーポットカバーを作る「ウェットフェルト」という2種類の技法があります。
ここでは、初心者でも作りやすい「ニードルフェルト(単純に、羊毛フェルトやフェルト羊毛と呼ばれることが多い)」の始め方を紹介します。
最初に、基本のシンプルなボールを作ってみましょう。いくつかを糸でつないでモビールにしたりアクセサリーにしたりとさまざまなものに使えるんですよ!
羊毛フェルトの道具
・フェルティングニードル(専用の針)
・フェルティングマット(テーブルや針先を傷つけないために使用するスポンジ状のマット)
羊毛フェルトボールの作り方
材料
羊毛フェルト 2g
(化学繊維のものでも可。化学繊維の羊毛フェルトは繊維がからまりやすく、初心者におすすめ。色もカラフルなものがそろいます)
作り方
1.羊毛の束を縦に裂くようにして、4本に分ける。
2.分けたうちの1本をマットの上に置き、横に広がらないようにしながらくるくると巻いていく。きつめに巻きながらボール状になるようにする。
3.巻き終わったら、ニードル(針)で刺してほどけないようにする。
4.2本目を巻いていく。巻く時は、同じ向きに羊毛を重ねるのではなく、最初の羊毛の向きを交差させるようにする。
5.3~4本目も同様にする。
6.ニードル(針)で刺していく。羊毛を少しずつ回転させながら、真上から刺して真上に抜いていく。コツは、ニードル(針)が太くなっているあたりまでしっかりと刺すこと。
7.手のひらの上で転がしたり指で触ってみたりして、柔らかい部分が残っていたら刺して、好みの固さに仕上げれば完成!
※実際にやってみるまでは、針を刺すという感覚がわかりにくいかもしれません。そんな時は、インターネットの無料動画などを参考にしてみてください。
道具と羊毛フェルトなどの材料は、手芸店、100円均一ショップ、インターネットなどで購入可能です。必要な道具と材料がセットになった羊毛フェルトキットも販売されています。犬や猫、パンダ、ハリネズミ、羊などの動物モチーフや、ブローチが作れるキットなどたくさんの種類がありますよ。
キットを100円均一ショップで購入する場合は、内容を確かめましょう。お店によっては、羊毛とニードル(針)だけ、羊毛とマットだけがセットになっていて、そのほかの道具は別売りになっていることがあります。
最初から動物などを作るのは、ちょっとむずかしいという声もあるようです。これはひとつのアイデアですが、100円均一ショップのキットを購入し、その材料を使用してボールを作ってみるのはいかがでしょうか?一度簡単なものを作ってみることで、羊毛フェルトの作り方の感覚をつかめると思います。ニードル(針)を刺すことに慣れたら、犬や猫などの作品にも挑戦してみるといいですね!
ちくちくと羊毛を刺すだけで、ぬくもりのある作品が作れる羊毛フェルト。気になった方は、ぜひ初めてみてくださいね!私は、猫を作ってみたいなと思っています。