高齢者による自動車事故が増える中、自分自身や家族の免許自主返納について考えている、または迷っているという人が多いかもしれません。
この記事では、運転免許返納のメリットとデメリットについて紹介します。
高齢者の交通事故の状況は?
警察庁が発表した「高齢運転者交通事故発生状況」によると、2019年(令和元年)中の交通事故発生件数は30,467件。そのうち、高齢運転者(特殊車を含む原付以上の車を運転している65歳以上の者)の交通事故発生件数は5,524件となっており、死亡事故に占める高齢者事故の割合が増える傾向があるとのことです。
運転免許の自主返納とは?
有効期限の残っている免許証を、自主的に返納することをいいます。
運転免許の自主返納をする人の数は?
警察庁の運転免許統計によると、運転免許の自主返納をする人の数は増えています。自主返納の制度が始まったのは1998年(平成10年)ですが、2019年(令和元年)に自主返納した人は60万1022人、そのうち75歳以上で返納した人は35万428件。75歳未満で自主返納する人も増える傾向にあります。
運転免許の自主返納の理由は?
ある調査によると、運転免許の自主返納のきっかけは、「運転に自信がなくなった」「運転に不安がある」、「年齢を考慮して」という理由があげられています。
運転免許の自主返納の方法は?
運転免許の自主返納は、警察署や運転免許センターに届け出をします。
必要なもの
1.返納する運転免許証(有効期限内のもの)
2.印鑑
3.交付手数料 1,100円 (運転経歴証明書を取得する場合)
4.申請用写真(運転免許センターの場合は不要)
※自主返納には年齢制限はありません。運転経歴証明書は、自主返納して5年以内であれば取得できます。
※自主返納をすると、その直後から運転ができなくなります。そのため、手続き時は家族の車に同乗するか、公共の交通機関を利用するようにしましょう。
本人確認書類はどうなる?
運転免許の自主返納後には、「運転経歴証明書」が発行されます。これは、金融機関などでも永続的に本人確認書類として利用できる証明書となります。本人確認書類として使えるのは安心ですよね。
運転免許の自主返納のメリットとは?
自主返納特典が受けられる
運転免許を自主返納すると、様々な特典が受けられます。特典は、国や自治体、民間を問わず提供されています。タクシーやバスなど交通機関の運賃割引、鉄道のフリーパスやレジャー施設の割引、美術館や飲食店の割引、商品券などで、内容は地域により異なります。※自主返納特典が受けられるのは、65歳以上が一般的。
運転による交通事故のリスクがなくなる
加齢による判断力や認識能力の衰えは気になるところです。事故を起こしたことはなくても、ちょっとした不注意でヒヤッとした経験がある人は多いのでは?運転免許を自主返納すると、自分自身が自動車事故を起こすリスクがなくなります。当たり前のことですが、これは自分自身や家族にとっての安心につながるのではないでしょうか?
車にかかっていた経費が不要になる
車が不要になるため、ガソリン代や洗車費用、車検代、自賠責や任意保険、車両保険などの保険料、駐車場代、高速道路代、ETC料金など、年間平均維持費40~50万円ともいわれている経費がかからなくなります。
運転免許の自主返納のデメリットとは?
運転ができなくなる
運転免許の自主返納にデメリットとして大きいのが、やはり車の運転ができなくなることでしょう。生活の様々な場面で使っていた車が運転できなくなることで、不便を感じたり楽しみがなくなったりということにもつながりそうです。
交通手段の選択肢が減る
居住する地域にもよりますが、車が移動手段、交通手段の中心だった場合は、貴重な選択肢が一つ減ることになります。都市部で電車やバスなどが利用できる場合は別として、郊外などで車が必須の地域では、運転免許の自主返納のデメリットは大きくなるかもしれません。
買い物が不便になる
車でなら少し遠くにあるショッピングセンターなどに行けた人でも、運転ができなくなることで、日常の買い物に不便を感じることが多くなるかもしれません。重さのある米やかさばるトイレットペーパーなど、車であれば負担ではなかったものを持ち運ぶことが不便に感じるかもしれません。
対応策としては、定期的(1週間に1回、または2週間に1回などと決めておくのがおすすめ。このようにすることで買い物の予定が立てやすくなります)に家族が車を出して買い物を手伝う。または米やトイレットペーパーなど持ち運びに負担を感じるものを、ネットスーパー、インターネット通販での注文に切り替えるのもひとつの方法です。
生活の変化にとまどうことも
運転免許の自主返納をすると、長いあいだ車の運転を続けてきた人や車の運転が好きだった人などは、生活が大きく変化することにとまどいを感じることがあるかもしれません。
どのようにしていけばとまどいを感じずに暮らせるか、使える交通機関にはどのようなものがあるのかなど、自主返納を検討し始めた時から、家族で話し合いの機会を持つようにしてみてください。
よく出かける場所に、バスやタクシーなど車以外の交通機関を使って行ける方法があるか調べたり、近隣であれば歩いて出かけたりする習慣をつくるようにするのもいいですね。車も便利だったけれど、バスやタクシー、徒歩でも好きな場所に行くことができるとわかれば、安心した気持ちで暮らせるのではないでしょうか?
運転免許返納のメリットとデメリットについて紹介しました。自主返納は、生活の様々な場面や精神面で、大きな影響があることがわかりました。メリットとデメリットについて十分に検討した上で、自主返納のタイミングを検討してみてください。