「終活」が広まったのはいつ頃?
いつの頃からでしょうか。「終活(しゅうかつ)」という言葉をよく耳にするようになりました。就職活動の「就活」じゃなくて、「終わりの活動」という意味で「終活」と名付けられているのがちょっとユニークですよね。
終活という言葉が初めて使われたのは2009年(平成21年)頃。その頃は、自分自身の葬儀やお墓などを事前に準備しておくという意味でしたが、徐々に内容が変わってきたようです。
2011年(平成23年)に、映画「エンディングノート」(監督・砂田麻美)が公開されたり、2012年(平成24年)に「現代用語の基礎知識が選ぶ2012ユーキャン新語・流行語大賞トップ10」に選ばれたりする頃には、「終活=自分の人生の終わりのための活動」として知られるようになりました。自分の最期について考えることを縁起でもないと避けずに、前向きに捉える風潮が強まったのですね。
なぜ終活が注目されているの?
日本の平均寿命が延びて高齢化社会を迎えたことや核家族化も進んだことから、認知症の増加や孤独死などさまざまな社会問題が増えています。その中で、高齢者自身がもしものときのために相続や介護、医療、葬儀、お墓などについて考えたり、自分の最期について決めておく必要性が高まってきたことから注目されるようになりました。
終活を始めるタイミングは?
始めるタイミングは自由ですが、仕事を定年退職したとき、65歳や70歳などの区切りとなる年齢を迎えたときに始めた、親が亡くなったことをきっかけに始めた人などさまざま。中には50代で始めたという人もいるようです。
終活の内容とは?
終活で必要となる内容について紹介していきますが、ここで紹介するのは終活の中の代表的なものです。それぞれの人が置かれた立場、家族やペットの有無、健康状態、体力や気力などによっても内容が変わってくるかと思います。
終活は、家族や配偶者、子供など残された人のために行うものであり、また自分自身のために行うものですが、急いでやらなければいけないことではありません。必要性の高いものからじっくりと進めていくことをおすすめします。
1.生前整理・財産目録を作る
生前整理とは、生きている間に身辺の整理をしておくことです。
財産目録は、本人だけが把握している預金、有価証券、土地や建物、生命保険、宝石、骨董品、車など資産価値のあるもの金融資産などをまとめたもの。
わかりやすい状態にしておくことで、もしものときに残された家族のためにもなりますし、自分自身も安心です。基礎年金番号やクレジットカード、電子マネーの情報、負債などがある場合も情報をまとめておきましょう。
2.生前整理・物の整理をする
財産の管理以外に必要となるのが、物の整理です。家の中にある手紙や写真などの思い出の品や趣味の品、食器、本、衣類などは手放したり処分するのが意外に難しいもの。
写真であればデジタルデータにまとめたり(苦手な場合は業者に依頼してもOK)、厳選した写真のみを残してひとつのアルバムにまとめたりという方法もおすすめです。
趣味の品や本、食器などは、残しておきたいものやよく使うものを厳選した後、手放していいなと思った品は、人に譲る、フリーマーケットに出す、業者に買い取ってもらうなどの方法で整理しても。インターネットで検索すると、まとめて買い取りをしてくれる業者も見つかるようですよ。
物の整理は、もしものときに家族に負担をかけないという意味合いが大きいです。一気にやろうとするのは大変なので、できる範囲で気になったものから整理していくようにしましょう。
3.医療や介護について考えて決めておく
自分が大きな病気になることがあったときのために、服用中の薬やかかりつけの病院がわかるようにしておきます。また病気のときの治療方法や終末医療、延命治療などの希望を家族に伝えたり話し合ったりしておきましょう。
介護が必要になったときに、どこで介護を受けたいか費用はどうするのか、もしものときの臓器提供や献体、認知症などで自分自身で判断することが難しいときに利用できる任意後見制度や民事信託などについても、余裕があれば調べてみたり家族と情報を共有したりしてみましょう。
4.葬儀やお墓について決めておく
身内以外の人も呼ぶ「一般葬」のほかに身内だけで行う「家族葬」、火葬のみで済ませる「直葬」、通夜を行わず、火葬の日に葬儀告別式のみだけを行う「一日葬」など、近年は葬儀の形式が多様になり選択肢が増えています。葬儀やお墓について自分自身の希望がある場合は、家族と話し合っておきましょう。
葬儀に友人や知人を呼んでほしい場合は、その人たちの連絡先を参列者リストとしてまとめておく、遺影写真の指示、余裕があれば葬儀社を選ぶところまで決めておければいいですね。
お墓についても、先祖代々の墓に入るのかまたは新たに建てるのか、永代供養墓や納骨堂などを選ぶのか、散骨などを選ぶのかなど、自分の希望について家族と相談しておきましょう。
5.遺言書を書く
遺言書には、「普通方式(一般的な遺言書)」と「特別方式(普通方式の遺言書が作成できないときの遺言書)」の2種類があります。一般的な遺言書は、「普通方式」です。普通方式の遺言書には、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。
遺言書を書く目的は、相続トラブルの回避や亡くなった後の手続きをスムーズに進めること。書き方や書き間違えたときの訂正の方法なども決まっているので注意します。本屋に行けば、遺言書の書き方と記入するだけで遺言書が作成できる用紙がセットになった「遺言書キット」もあるので、利用してみてもいいですね。
エンディングノートの利用がおすすめ
エンディングノート自体には、形式などの決まりはありません。インターネットから無料で利用できるエンディングノートをプリントアウトしてもいいですし、自分でノートを用意して書き進めても大丈夫です。
本屋や文房具店で販売されているエンディングノートのおすすめポイントは、必要な項目が網羅されているので書き忘れを防げること、流れに添って記入するだけで、自分自身の情報をひとつにまとめておけることなどです。書き込みながら人生のできごとを振り返れるので、今後の人生を考えるきっかけにもなりそうです。
ただ、市販のエンディングノートの項目すべてを記入するのは大変かもしれません。自分自身が必要と感じる項目から少しずつ書き始めることをおすすめします。
じつはこのエンディングノート。ケガや病気など突発的なできごとが起こったときのために、年齢や性別に関係なく使う人が増えているそうですよ。
終活の内容について紹介しました。終活自体は、必ずやらなければいけないものではありませんが、終活によりこれまでの人生の振り返りができ、やり残したことややりたかったことに気づけたという人もいるようです。終活を始めることが人生の新たな始まりを呼ぶきっかけになることってあるのかもしれませんね!