この間、ラジオを聞いていたら「終活を始めたいけれど、何から始めればいいのかがわかりません!」という悩みを相談されている方がいました。
終活は、人生の終わりに向けて身の回りの色々を整理しておく「生前整理」のことです。以前なら、自分の最期の時のことを考えるなんて縁起でもないという考え方が一般的だったようですが、近年は「残された家族に負担をかけたくない」「終活をすることで、今という時を大切に思えるようになる」など、前向きにとらえて終活を始める人が増えているのです。
ひとことで終活といっても、不用品の整理や相続、介護、医療、葬儀、お墓のことなど内容が多岐に渡ります。色々なことを考えたり決めたりしなければいけないので、何から始めればいいのか、迷うのは自然なことなのかもしれません。
終活はいつから始めればいいの?
終活を始めるタイミングには、特に決まりはありません。今すぐ始めてもいいですし、仕事を定年退職したときや、60歳や70歳などの区切りとなる年齢を迎えたときに始めても。親が亡くなったことをきっかけに50代で始めたという人もいます。
意識したいのは、なるべく元気で体力と気力がある時に始めること。ゆっくりやろうと考えているうちに、突発的なできごとが起こって終活を進める余裕がなくなることも考えられるからです。日々の生活を送る中で新しいことを始めるのは意外に難しい一面がありますが、ぜひきっかけを作って始めてみてください。
エンディングノートを参考にしながら進める
終活を始める時におすすめなのが、エンディングノートを利用すること。エンディングノートが1冊手元にあれば、終活でやるべき内容が項目別にわかります。また、内容に添って進めていけば、肝心なことを忘れてしまったといったこともなくなるでしょう。
エンディングノートとは?
エンディングノートは、もしもの時に備えて自分に関する情報や自分の希望を書き込むノートのこと。遺言書のような法的拘束力はないのですが、本人以外が知らない細かな情報をまとめておくことで、残された家族が困らないようにするためのものです。
書店や文具店、インターネット通販で購入が可能。価格は1,000円前後からで、100円均一ショップでは、今のところ取り扱いがありません。ほかに、インターネットで無料で公開されているエンディングノートをダウンロードしてプリントアウトする方法もあります。「エンディングノート インターリンク 葬儀ベストネット」で検索した時に、検索結果の上位に出てくるサイトのものは使いやすくておすすめです。
具体的に、何から始めたらいいの?
1.これから先も変更が少ない項目をまとめておく
まず最初に、これから先も変更が少ないと思われる項目をまとめて記録しておきましょう。銀行口座、 不動産、株式、 クレジットカード、住居、ローン、年金 、健康保険、 生命保険損害、 傷害保険の口座番号などの情報を一覧にまとめていきます。自分以外の人が見た時にわかりやすいように書くのがコツです。
携帯電話やスマホ、自宅のインターネット回線の契約、ブログやSNSを利用している場合は、パスワードなども記録しておくといいですね。銀行口座用の印鑑などは、保管場所がわかるように書いておくといいでしょう。
2.不用品の整理は同時進行で進める
他の終活の作業と同時進行で始めたいのが、不用品の整理です。食器や調理道具、長年着ていない洋服、使っていない小物、本、書類など。必要なものと不要なものを分けて少しずつ処分し、荷物を整理するのも終活の大事な項目のひとつです。
家の中には、長い間使っていないしこれからも使う予定がないけれど、もったいなくて捨てられない、といったものがあるかもしれません。愛着があって手放すのが難しいと感じるものは残し、捨ててもいいかなと判断できたものは処分していきましょう。
ただ捨てるのではなく、リサイクルショップや金属類買取業者に引き取ってもらう、または自分でフリマアプリ(簡単な登録をするだけで、不用品を売買できるインターネット上のフリーマーケット。「メルカリ」が使いやすくておすすめ)を利用するのもいいでしょう。
インターネットの「ジモティー」というサイトは、自宅まで引き取りに来てもらうという条件での出品が可能なほか、値段を付けずに「無料で差し上げます」という設定での出品ができます。お金のやりとりを避けたい場合にいいかもしれません。
3.医療と介護について考える
ふだん飲んでいる薬や飲食物のアレルギー情報、食べ物の好き嫌いなどをまとめておきます。一覧にまとめておけば、急な入院や介護の時にも治療や手続きがスムーズです。
また、介護が必要になった時のことも考えておきます。介護が必要になった時に、どこで受けたいのか、誰に世話をしてもらいたいのか、経済面を含めて考えておきましょう。延命治療や余命宣告などについても、どのようにしてほしいのかを家族と話し合っておくか、エンディングノートに書き込みをしておきましょう。
4.葬儀、お墓について考える
自分が亡くなった後の葬儀の形式や希望を考えます。葬儀には、遺族や親族、友人、職場の関係者など、たくさんの人に参列してもらう「一般葬」、身内だけで執り行う「家族葬」。通夜を行わず、葬儀・告別式を一日で行う「一日葬」、火葬だけで終える「直葬」など、さまざまな形式があります。
自分がどのような形式を希望するのかを考えておきましょう。葬儀に友人や知人に参列してもらいたい場合は、リストも作っておくといいですね。
お墓についても、「継承墓(一般墓)」や「納骨堂」、「樹木葬」「散骨」など多様な種類があります。特に希望する形式があるならそれを家族に伝えたり、エンディングノートに書き込んだりしておきましょう。
5.相続について考え、遺言書を作成する
残された家族への財産の相続を考えている場合は、遺言書を作成しておきます。遺言書には、自分で書く「自筆証書遺言」、公証役場に出向いて作成する「公正証書遺言」、自分で遺言書を作成したものを、公証人役場で保管する「密証書遺言」があります。
ほかに、形見分けや寄付などを希望する場合は、エンディングノートに記録しておくようにします。
就活を始める順番について紹介しました。ここで紹介したのは終活の中で特に重要なものです。家族やペットの有無、健康状態、仕事の有無などによっても必要な項目は変わってくるでしょう。また、ちょっと時間をかけて考えたいなという項目があるかもしれません。いずれにしても、一気に終わらせるのは難しいことなので、優先順位を決めて徐々に進めていくことをおすすめします。
終活は、残された家族のためであり自分のためのものでもあります。「終活をしたことで、物理的、心理的に身軽になった。気持ちがすっきりした」という意見もあるようですよ。