住宅や医療、仕事などに関して国や自治体が用意している制度には、さまざまなものがあります。今回は、申請することでもらえる給付金や控除などの制度を紹介します。
※紹介する制度は、内容が改定される場合があります。事前申請が必須の制度もありますので、実際に利用する前に窓口への確認をおすすめします。
住宅に関する控除や給付金制度
住宅特定特別税額控除
申請するのは:税務署
省エネ改修工事やバリアフリー改修工事をおこなった際に、税額の控除を受けられる制度です。省エネ改修工事は、壁や天井、窓、床などにおこなう断熱工事のこと。控除額は最大で25万円。省エネ改修工事と太陽光発電の設備工事を同時におこなう場合の控除額は、最大で35万円です。
バリアフリー改修工事は、手すりの設置、住宅内の段差を解消する工事、滑りにくい床材への取り換え工事、浴室、トイレの改良などのことです。この場合は、最大20万円の控除が受けられます。
居宅介護住宅改修費
申請するのは:各自治体の地域包括支援センター
65歳以上で要介護の認定を受けた人が、バリアフリー改修工事をおこなった際に利用できる制度です。
バリアフリー改修工事にかかった費用の7~9割の給付が受けられます。20万円が上限です。利用者の負担額は、収入により決められています。64歳までは工事費の1割、65歳以上の場合は基本的に1割で、一定以上の収入がある場合は2~3割の負担額になります。
手続きは、近隣の地域包括支援センターでおこなえます。最初は、ケアマネージャーなどに相談すると進めやすいでしょう。
介護保険の在宅サービスの支給限度額とは関係なく別枠で利用できます。
※要支援1または要支援2の認定を受けた人は、「介護予防住宅改修費」という制度の利用が可能です。
医療に関する税金控除
医療費控除
申請するのは:税務署
家族全員の医療費(病院の治療費や薬代、通院の交通費、市販薬の購入費など)が、1年間で10万円を超えた場合に、医療費控除として所得金額から差し引かれるという制度です。
(1年間に支払った医療費の全額-保険金などで補填される金額)-10万円(総所得が200万円未満の場合は総所得の5%)× 所得税率=医療費控除額(最大で200万円)
セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)
申請するのは:税務署
2017年(平成29年)1月1日から始まったセルフメディケーション税制。特定の医薬品を購入した際の合計が、1年間(1月から12月の)で1万2,000円以上になった場合に利用できる医療費控除の制度です。最大8万8,000円までの控除が受けられます。従来の医療費控除とは異なり市販薬の購入のみでも対象になるのが特徴です。
(対象になる医薬品の購入金額-1万2000円)×10%総所得が200万円未満の場合は総所得の5%)
セルフメディケーション税制の対象となるのは、風邪薬や鎮痛剤などで特定の成分が含まれた「スイッチOTC医薬品」と指定されているもの。セルフメディケーション税制の対象となる品目は、現在のところ約1,800あり下記のマークがついています。また、対象になる場合はレシートの品目に「★」のマークがつけられているので目印にしてください。
※一般社団法人 日本OTC医薬品情報研究会の登録商標
利用条件として決められているのは、特定健康診査、予防接種、定期健康診断、健康診査、がん検診などを受けて健康維持の取り組みをしていること。申請の際に書類の提出が必要です。
注意点
従来の医療費控除制度と重複して利用することができません。金額を考慮してどちらを受けるかを検討するといいでしょう。
仕事に関する給付金制度
高年齢求職者給付金
申請するのは:ハローワーク
2017年(平成29年)1⽉1⽇以降、65歳以上の人も雇用保険に加入できるようになりました。「⾼年齢被保険者」として雇⽤保険の適用者にすることが義務付けられたためです。1週間の所定労働時間が20時間以上あり31日以上の雇用見込みがある人は、雇用保険に加入できます。
「高年齢求職者給付金」は、雇用保険に入っていた人が離職した際に給付される一時金です。離職前の1年間に、賃金支払基礎日数が11日以上の月が6ヶ月以上あることが条件です。この条件が満たされない場合は、賃金の支払い時間数が80時間以上ある月を1ヶ月として計算します。
離職後も就職する意思があること、いつでも就職できる状態にあり求職活動をおこなっている状態であることを条件に給付が受けられます。ハローワークで求職の申込みをしたあとに申請します。受給を認められると、雇用保険の被保険者だった期間が 1年未満の場合は30日分、1年以上の場合は50日分が離職前の給料を基準にして支給されます。
「高年齢求職者給付金」は、老齢年金と同時に受給可能です。
介護休業給付金
「介護休業給付金」は、定年後に再就職した人などが、家族の介護で2週間以上休まなければいけなくなった際に受けられる制度です。同じ家族についての介護で通算93日分を限度として3回まで給料の67%が雇用保険から支給されます。
介護休業開始日の前2年間の間に、賃金支払基礎日数が11日以上の月が12ヵ月以上続いていることが条件になります。
申請することでもらえる給付金、控除が受けられる制度を紹介しました。それぞれの制度を利用するには、条件の確認や手続きの書類などが必要です。申請の際は、事前に窓口に問い合わせをすることをおすすめします。
また、この記事で紹介しきれなかった制度や自治体独自の給付金、控除が設けられている場合もあります。その内容については、下記のホームページから調べてみてください。市町村ごとにわかりやすくまとめられています。
goo暮らしデータ
https://house.goo.ne.jp/chiiki/kurashi/
給付金や控除など、利用できるものは利用しながらよりよい生活を送れたらいいですよね。ぜひ参考にしてみてください。